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啓示の書のあらすじ

啓示の書はまた,黙示録と呼ばれています。ギリシャ語の「アポカリュプシス」という言葉には,「ベールを外すこと」,もしくは「覆いを外すこと」という意味があります。
 
ヨハネはわたしたちにこう語ります。
 
「また,わたしは1匹の野獣が海から上って行くのを見た。10本の角と7つの頭があり,その角の上には10の王冠があったが,その頭には冒とく的な名があった。さて,わたしの見た野獣はひょうに似ていたが,その足は熊の足のようであり,その口はライオンの口のようであった,そして,龍は自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」。(啓示 13:1, 2)

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これらの獣は「王」,つまり地上の政治強国を表しています。この野獣の7つの頭は,エジプト,アッシリア,バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャ,およびローマと後代に現れることが預言されていた英米世界強国とを表しています。

 

また,「自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」のは龍であることにも注目してください。サタンは確かに「この世の支配者」です。(ヨハネ 12:31)

 

 

今度は,別の野獣が世界の舞台に登場します。ヨハネはこう伝えています。

 

「また,わたしは別の野獣が地から上って行くのを見た。それには子羊のような2本の角があった。それは龍のように話しはじめた。そして,第1の野獣のすべての権威をその前で行使する。また,地とそこに住む者たちに,第1の野獣を崇拝させる。また大いなるしるしを行って,人類の前で火を天から地に下らせることさえする」。(啓示 13:11-13)

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2本の角は,2つの政治強国の提携関係を示唆しています。それは,第1の野獣の7番目の頭と同じ英米世界強国です。「子羊のような」2本の角は,この野獣が温厚な政府のように見せかけることを示唆しています。しかし,支配権に関する独自の見解が受け入れられないとなると,圧力や脅しや露骨な暴力さえ行使するので,「龍のように」話します。

 

 

「そして,野獣のために像を作るようにと地に住む者たちに言う。またそれには,野獣の像に息を与えることが許された。それによって野獣の像は話すようになり,また,野獣の像をどうしても崇拝しない者たちをみな殺させるようにするのである」。(啓示 13:14, 15)この像は,第一次世界大戦が終わった後に作られます。2本の角のある野獣はこの像に息を吹き込みます。

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歴史上の物事の展開から見ると,この像の実体は英国と米国により提唱され,設立され,支持されて,当初,国際連盟として知られた機構であることが分かります。この団体の権威に従わない国民や民族をすべてのけ者にする,もしくは生きたまま葬るという処置で脅してきました。この団体の理念に従わない国家を実際に追放しました。

 

 

「またそれは,すべての人,すなわち,小なる者と大なる者,富んだ者と貧しい者,自由なものと奴隷を強制して,その右手や額に印を受けさせ,また,その印,つまり野獣の名もしくはその名の数字を持つ者以外にはだれも売り買いできないようにする。ここが知恵の関係してくるところである。そう明な者は野獣の数字を計算しなさい。それは人間の数字なのである。そして,その数字は666である」。(啓示 13:16-18)

 

野獣の名は,666という数字です。6という数字は,神の見地から見た完全性を表す7に達しません。ですから,6が3つ重なっていることは,甚だしい不完全さを表しています。ヨハネは,それが「人間の数字」で,霊者の数字ではないと言っていますから,その名は野獣が地的なもので,人間の政府を象徴していることを確証するのに役立ちます。

 

 

「また,別のみ使いがそのあとに従って,こう言った。『彼女は倒れた!大いなるバビロン,あらゆる国民に自分の淫行の怒りのぶどう酒を飲ませた者は倒れた!』」(啓示 14:8)

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大いなるバビロンとは,偽りの宗教の世界帝国です。大いなるバビロンはサタンの組織の宗教的な部分です。(ヨハネ 8:43-47)
 
「また,ひとりの強いみ使いが,大きな臼石のような石を持ち上げ,それを海に投げ込んで,こう言った。『大いなる都市バビロンはこのように,速い勢いで投げ落とされ,二度と見いだされることはない』」。(啓示 18:21)
 
神とイエス・キリストは,大いなるバビロンを攻撃して完全に滅ぼすという「考え」を人間の支配者たちの心の中に入れます。(啓示 17:16, 17)
 
「またわたしは,大群衆の声のような,多くの水の音のような,そして激しい雷の音のようなものを聞いた。彼らはこう言った。『ハレルヤ。全能者なるわたしたちの神は,王として支配を始められたからである』」。(啓示 19:6)
 
大いなるバビロンが荒廃させられた後,今や再び,『神は王として支配を始められた』という叫びが上がります。人間の作った神で,まことの神の主権に今後反対して争えるような者は一人もいません。

 

 

ヨハネはわたしたちにこう告げます。

 

「そしてわたしは,かえるのように見える3つの汚れた霊感の表現が,龍の口から,野獣の口から,偽予言者の口から出るのを見た。それらは実は悪霊の霊感による表現であってしるしを行ない,また人の住む全地の王たちのもとに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦争に彼らを集めるためである」。(啓示 16:13, 14)

 

「龍」は,サタンを表しています。「野獣」は,サタンの地上の政治機構を表しています。「偽予言者」とは,子羊のような2本の角のある野獣,英米世界強国に違いありません。

 

「そして,悪霊の霊感による表現は地上の王たち,もしくは支配者たちを,ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所に集めた」。(啓示 16:16)

 

 

ハルマゲドンは,人間の戦いではなく,「全能者なる神の大いなる日の戦争」,つまり地上の支配者たちに対する全能者の復しゅうの日です。(啓示 16:14, 16)

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「そしてわたしは,野獣と地の王たちとその軍勢が,馬に乗っている方とその軍勢に対して戦いをするために集まっているのを見た。そして,野獣は捕えられ,それと共に,野獣の前でしるしを行ない,それによって,野獣の印を受けた者とその像に崇拝をささげる者とを惑わした偽預言者も捕えられた。彼らは両方とも生きたまま,硫黄で燃える火の湖に投げ込まれた。しかし,そのほかの者たちは,馬に乗っている者の長い剣で殺された。その剣は彼の口から出ているものであった。そして,すべての鳥は,彼らの肉を食べて満ち足りた」。(啓示 19:19-21)
 
このようにして,サタンの地上の組織はすべて終わります。

 

 

ヨハネはわたしたちにこう告げます。

 

「それからわたしは,ひとりのみ使いが底知れぬ深みのかぎと大きな鎖を手にして天から下って来るのを見た。そして彼は,悪魔またサタンである龍,すなわち初めからの蛇を捕えて,千年のあいだ縛った。そして彼を底知れぬ深みに投げ込み,それを閉じて彼の上から封印し,千年が終わるまでもはや諸国民を惑わすことができないようにした。これらのことの後,彼はしばらくのあいだ解き放たれるはずである」。(啓示 20:1-3)

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サタンを天から投げ落とし,大いなるバビロンを裁き,ハルマゲドンで「地の王たちとその軍勢」を一掃された,このみ使いの頭であるイエス・キリストが,サタンを底知れぬ深みに入れます。
 
サタンは「悪魔どもの支配者ベエルゼブブ」と呼ばれています。(ルカ 11:15, 18。マタイ 10:25)悪霊たちは長年サタンと共同で働いてきました。その使いたちも確かにサタンと共に底知れぬ深みに投げ入れられます。(イザヤ 24:21, 22)

 

 

「第一の復活にあずかる者は幸いな者,聖なる者である。彼らは神およびキリストの祭司となり,千年のあいだ彼と共に王として支配する」。(啓示20:6)
 
第一の復活にあずかる人たちは,天の天国でイエスと共に共同支配者となり,人類の残りの人々を裁きます。
 
千年統治の終わりまでに,全地は最初のエデンに似た所となるでしょう。それは正真正銘のパラダイスとなります。アダムに起因する罪の痕跡はことごとく除き去られ,最後の敵である死が無に帰せしめられるからです。
 
今や大患難を切り抜けて出て来る何百万もの大群衆が,際立った存在として『み座の前に』立ちます。彼らは人間としての完全な状態に回復させられ,その後,試されてから,完全な意味で義と宣せられることになります。(啓示 7:9, 10, 14, 17)

 

 

使徒パウロは,「義者と不義者との復活があるのです」と述べました。(使徒 24:15)
 
「義者」の中には,神との友好関係の点で義と宣せられたアブラハム,ラハブ,その他の神に対して忠実を保って死んだ,義にかなった,現代のほかの羊の人たちも含まれます。忠誠を保った,それらの人々は皆,多分,イエスの千年統治の初めごろに復活させられるでしょう。(ヨブ 14:13-15; 27:5。ダニエル 12:13。ヘブライ 11:35, 39, 40)
 
「不義の者」とは,歴史を通じて死んでいった人類の中の大部分の人々,とりわけ「無知の時代」に生活した人々が含まれるでしょう。(使徒 17:30)それらの人々は,生まれた場所や生活した時代のゆえに,神のご意志に従順に従うことを学ぶ機会に恵まれませんでした。さらに,救いの音信を聞いたものの,その時に十分こたえ応じなかった,あるいは献身とバプテスマの段階まで進歩しないうちに亡くなった一部の人々もいるでしょう。

 

 

「さて,千年が終わると,サタンはすぐにその獄(ひとや)から解き放される。彼は出て行って,地の四隅の諸国民,ゴグとマゴクを惑わし,彼らを戦争のために集めるであろう。それらの者の数は海の砂のようである。そして,彼らは地いっぱいに広がって進み,聖なる者たちの宿営と愛されている都市を取り囲んだ」。(啓示 20:7-9)
 
地上のそれらの軍勢は,「聖なる者たちの宿営」を取り囲みます。
 
「しかし,天から火が下って彼らをむさぼり食った。そして,彼らを惑わしていた悪魔は火と硫黄との湖に投げ込まれた。そこは野獣と偽預言者の両方がすでにいるところであった」。(啓示 20:9, 10)

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元の蛇であるサタンは今度は,単に底知れぬ深みに入れられるのではなく,実際に打ち砕かれてなくなる,粉砕される,あたかも火によってなされるかのように,完全に滅ぼし絶やされるのです。「火と硫黄との湖」は,復活の希望のない,完全な徹底的な滅びを表しています。
 
悪霊たちは千年統治の初めごろ,悪魔と共に底知れぬ深みに入れられました。彼らもまた,火と硫黄の湖で悪魔と共に滅ぼされることになります。(マタイ 8:29)

 

 

ただ一つの政府を持つ,ただ一つの世界を造るという神の目的は,キリストの王国により成し遂げられます。この時点で,イエスは「王国を自分の神また父に渡します」。(コリント第一 15:22-26。ローマ 15:12)

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「それと共に,わたしはみ座から出る大きな声がこう言うのを聞いた。『見よ!神の天幕が人と共にあり,神は彼らと共に住み,彼らはその民となるであろう。そして神みずから彼らと共におられるであろう』。また神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。(啓示 21:3-4)
 
イエスが王国をみ父に渡される千年統治の終わりには,忠節な代表者,もしくは仲介者は必要ではなくなります。神は霊的な仕方で永久に,また直接「その民」と共に『お住み』になります。(ヨハネ 4:23, 24)