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ダニエル書のあらすじ

聖書のダニエル書は,西暦前7世紀および6世紀のヘブライ人の預言者ダニエルによって書かれました。

 

ネブカドネザル王は夢を見た。そこで王はバビロンの魔術師,魔法使い,呪術者などを呼び集め,自分にその内容を告げ,それを解き明かすよう要求します。

 

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その翌日ダニエルは,ネブカドネザルにこう告げます。
「途方もなく大きな像です。その像は,頭は良質の金,胸と腕とは銀,腹と股(もも)とは銅,脚部は鉄,足は,一部は鉄,一部は成形した粘土でした。ついにひとつの石が人手によらずに切り出され,それが像の鉄と成形した粘土とでできた足のところを打って,これを砕きました。そして,像を打ったその石は,大きな山となって全地に満ちました」。(ダニエル 2:31-35)

 

 

「このあなたが,その金の頭です。あなたの後に,あなたに劣る別の王国が起こります」。(ダニエル 2:37-39)

 

夢の像の銀の胸と腕は,キュロス大王から始まるペルシャの王統を指していました。

 

「別の王国,3番目の,銅のものであって,それが全地を支配します」。(ダニエル 2:32, 39)

 

アレクサンドロス大王は,新たな世界強国としてのギリシャの地位を揺るがぬものとしました。西暦前323年6月13日,ある宴会の後に32歳という若さで病気になり,その後まもなく死亡したのです。その広大な帝国はやがて4つの領土に分割され,それぞれがアレクサンドロスの部下の将軍によって支配されました。

 

 

「4番目の王国,バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャに続くものですが,それは鉄のように強いものとなります」。(ダニエル 2:40)

 

夢の像の鉄の脚部は,ローマ帝国だけでなく,そこから派生した政治国家を指していました。
 
英国はかつてローマ帝国内の北西部に位置していましたが,1763年までには,7つの海を制する大英帝国になっていました。同帝国内のアメリカにあった13の植民地がアメリカ合衆国の建国を目指し,1776年の時点ですでに独立を宣言していました。夢の像の鉄の脚部はローマ帝国と英米二重世界強国を含んでいます。

 

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「足の指が一部は鉄,一部は成形した粘土でできていることについて言えば,その王国は一部は強く,一部はもろいものとなるでしょう。鉄が成形した粘土と混じり合っていないのと同じように,それらも,それとこれとが堅く付くことはないでしょう」。(ダニエル 2:41-43)
 
像の足の10本の指は,強国や政府を表しています。聖書の中で10という数は,地的な全体性を意味することがあるからです。(出エジプト記 34:28; マタイ 25:1; 啓示 2:10)今わたしたちは「終わりの時」にいるので,この像の足のところまで来ています。
 
政府の中には,鉄のような,つまり権威主義的ないしは圧制的なものもあります。一方,粘土のような政府もあります。権威主義的な支配と一般人が堅く付くこともありません。像が崩れ去る時,世界は政治的にまさしく粉々に砕けます。

 

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「それらの王たちの日に,天の神は決して滅びることのないひとつの王国を立てられます。そして,その王国はほかのどんな民にも渡されることはありません。それはこれらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ,それ自体は定めのない時に至るまで続きます。あなたは,山からひとつの石が人手によらないで切り出され,それが鉄,銅,成形した粘土,銀,金を打ち砕いたのをご覧になったのです。これから後に起きる事柄を,大いなる神ご自身が王にお知らせになりました。そして,この夢は確かであり,その解き明かしは信頼できます」。(ダニエル 2:44, 45)

 

ネブカドネザルは自分の見た夢についての記憶が呼び起され,その夢の意味が説明されたことに感謝し,ダニエルの神だけが「王たちの主,秘密を明らかにされる方」であることを認めます。

 

 

「終わりの時に,南の王は北の王と押し合う」と,み使いはダニエルに告げました。(ダニエル 11:40)

 

2つの世界大戦を通じて,南の王である英米世界強国の主要な敵となったのはドイツでした。ところが第二次世界大戦後,この国は分割されます。西ドイツは南の王の同盟国となり,東ドイツは別の強力な存在,ソビエト連邦を盟主とする共産主義陣営に組しました。この陣営もしくは政治的存在は北の王として立ち上がり,英米の同盟に激しく敵対しました。

 

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1991年12月にソビエト連邦が解体したことに伴い,北の王は大きく後退しました。地の王たちが神の王国によって滅ぼされる時,だれが北の王となっているのかの答えを得るには,時を待たなければなりません。

 

※2018年に統治体は,ロシアとそれを支持する国々が北の王であることを示しました。

 

 

「彼らは荒廃をもたらす嫌悪すべきものを必ず据える」のです。(ダニエル 11:31)
 
それは,神の王国の,「嫌悪すべき」まがい物と言えるでしょう。「嫌悪すべきもの」が生じたのは,旧ソビエト連邦を含む50か国の加盟する国際連合が設立された1945年10月24日のことでした。このようにして,み使いの予告した「嫌悪すべきもの」,国際連合が据えられました。

 

 

「北の王をかき乱す知らせがあって,日の出る方から,また北から来る。そのため彼は非常な激怒を抱き,滅ぼし尽くすため,多くの者を滅びのためにささげようとして出て行く。それでも,彼は必ず自分の終わりに至る。これを助ける者はいない」。(ダニエル 11:44, 45)
 
激怒した北の王は,神の民に対して軍事行動を取ります。

 

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ダニエルと同じ時代に生きていたエゼキエルも,「末の日に」神の民に加えられる攻撃について預言しました。マゴグのゴグ,つまり悪魔サタンが,まず戦闘をしかける,とエゼキエルは述べました。(エゼキエル 38:14, 16)
 
ゴグは,「神のイスラエル」の繁栄ゆえに,全面的な襲撃を組織します。ゴグは,「諸国民の中から集められた民,すなわち霊的な富や財産をためている民を不信の念を抱いて見ます」。(エゼキエル 38:12)
 
ゴグは,人類に対する全面的な支配を妨げるクリスチャンの霊的地所を除き去るため,あらん限りの手を尽くします。それでも成功しません。(エゼキエル 38:11, 18; 39:4)北の王を含む地の王たちは神の民を攻撃する時,『必ず自分たちの終わりに至り』ます。

 

 

「その時に,あなたの民の子らのために立つ大いなる君ミカエルが立ち上がる。その時,あなたの民,すなわち書に記されている者はみな逃れ出る」。(ダニエル 12:1)

 

ミカエルであるイエスは,神の主要な刑執行者として,邪悪な事物の体制全体に終わりをもたらします。

 

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北の王の最後の軍事行動は,南の王に向けられるのではありません。ですから,北の王は,大いなるライバルの手にかかって終わりに至るのではありません。同様に,南の王も,北の王によって滅ぼされるのではありません。南の王は「人手によらずして」,神の王国によって滅ぼされます。(ダニエル 8:25)
 
地の王たちすべてはハルマゲドンの戦闘で,神の王国により除き去られることになっており,これが北の王が迎える結末だと言えるでしょう。(ダニエル 2:44)